松本清張の長編作品では地味な作品のほうかな。
ラブホテルの盗聴テープを聞かせては小銭を稼ぐライターのスケベ心を起点として大物政治家の選挙違反へと糸のようにスーーーーっと繋がっていく筋書きには脱帽。
そして最後にとんでもない立場の逆転。
湯布院の宿のくだり(この時代、湯布院はしがない田舎温泉宿ってのが新鮮)にはゾクリ。
素材を現代に置き換えればじゅうぶんに今でも面白い映像化作品ができあがるはず。
盗聴テープを盗聴動画に。
電車回数券は交通系電子マネーに。
生命保険会社はそのままでも、或いはいつの時代も不変な食事の店でも。
(考えてみたら清張の時代にはフードチェーン店も皆無に近いのでは?)
この作品がいまひとつ地味な印象に陥ってしまうのは
映画監督の本編からの途中降板とでもいうべきフェードアウト感。
それからバディムービーのような「共同推理加担者」、葉山良太の登場が謎めいているわりには「...。」といったフェードアウト感。
二人のフェードアウト感が地味な印象に陥ってしまう要因かな。
地域も新潟柏崎、三重尾鷲、山梨小淵沢と現在でも「ビミョー」(住んでいるかたごめんなさい!)な中途半端な知名度の土地というのもある、のかも。
事件の発展はどんどん大きくなっていくのに、主人公の平助が等身大のままということもあるかな。
あ、いや。けなしているように読めると申し訳ないのだけれど。
そのあたりを昇華させてくれたら、抜群に面白い映像化作品になります。
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