重松清の小説、例えば「くちぶえ番長」のような中学生の教科書に登場するお手本のような味わいの小説を数冊読んできている。
そんななかでこの「疾走」を手に取る。
発売当時、駅ナカの書店で平積みされ、表紙に描かれる「黒い背景に叫ぶようなひと」
随分と怖い表紙だから怖い小説なんだろうと思って購入に至らず。
その疾走を読み終えて
「くちぶえ番長」と「疾走」の作者が同じひとだとはどうしても信じられない。
この上巻、主人公の環境は日に日に劣化していく。
「くちぶえ番長」を書いた作者なら、きっと何かがきっかけでシュウジには誰かから具体的な救いの手が差し伸べられていくだろう、と。
それは、進学費用の援助するひとの登場、孤立する環境を改善する熱血教師の登場、心を満たすような愛を与えてくれるひとの登場。
そういったひとがきっと、という期待は上巻では実現されない。
下巻ではシュウジや彼の周りが今よりも上向いていくのだろうと思いながら読み進めた
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