2011年11月9日水曜日

新選組血風録

この本を手に取るあなたへ
「誰にも負けない組織を築きたいのに、嫌われたくないなどといった邪念があなたを惑わせるのなら心を鬼にするために読んでみよう」

今秋司馬遼太郎記念館に足を向けた際の最大動機が、今春BSで放送されていた新選組血風録展示があったから。
(ドラマは未見)
展示の中で最も興味をそそられたのが当時の地図と物語の事件現場をマッピングしているという謳い文句。
大抵の入場者が10分もすればその地図の前から離れるのに、私ときたら45分はじっと腕組みをしたり、唇に人差し指を当てながらウンウンと頷きながら眺めたりして楽しみました。

組織を築き上げる「鬼の副長」土方歳三、その有能な筆頭部下山崎烝、ギスギスと窮屈な鉄の組織に緑風の存在沖田総司
この3人が特に印象深く残る
山崎烝が主人公の「池田屋異聞」は「忠臣蔵」に関わる物語を読んでいたことで、ニヤリとさせながら読めた。

関西に住み始め、尚且つ京都界隈をルートセールスしていたことも相まって京都市内の地理が僅かながらに理解できるようになった。
北から南へ一条から十条
西から南へ烏丸、河原町
京都人からすれば3歳児でも分かるようなことでも、九州から出てきた田舎者の私にとっては本に書かれている地理が脳内でマッピングされ、事件の舞台が「あのあたり」と見当をつけながら読み進められるようになった。
この悦びは時代小説愛好家としてその末席には座る資格は取得できたかな、と思える。

元々は2004年に大河ドラマ「新選組!」の視聴前に読んで以来の再読。
三谷幸喜がどう味付けをしていくのか興味津々で視聴した。
例えば。
斎藤一による谷三十郎、武田観柳斎の暗殺
近藤一派による芹沢鴨の暗殺
同じく近藤一派による伊東甲子太郎の暗殺とそれに続く油小路の決闘
中でも芹沢鴨の暗殺に至るストーリーと人物描写、芹沢鴨の心の深淵を描ききったドラマはこの「新選組血風録」の物語とはコペルニクス的転回の物語。
対比しながら読むのも一興。
「新選組!」には登場しなかった物語でもドラマ化、舞台化されている篇も幾つかある。
大島渚監督の「御法度」は「前髪の惣三郎」「胡沙笛を吹く武士」を土台にしている
舞台になったのかどうか不明だが、私が鑑賞してみいのは「沖田総司の恋」
コメディでも構わないし、シリアスでも構わない。


・油小路の決闘
・芹沢鴨の暗殺
・長州の間者
・池田屋異聞
・鴨川銭取橋
・虎徹
・前髪の惣三郎
・胡沙笛を吹く武士
・三条碽乱刃
・海仙党異聞
・沖田総司の恋
・槍は宝蔵院流
・弥兵衛奮迅
・四斤山砲
・菊一文字

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