2011年11月16日水曜日

沈まぬ太陽(4)会長室篇・上


この本を手に取るあなたへ
「責任とは何か?
利権と関与したいか?したくないか?
その2点だけで構わない、読んでみよう」

この巻でどういうことを感じたか、それを言葉に、文字に替えて下書きしよとするも、ペンが遅々として進まなかった。
「御巣鷹山篇」で「命」の尊さを否が応にでも考えさせられ、この流れを汲みながら国民航空が新たな一歩を踏み出す改革を成し遂げていく姿を期待していた。
第1章、第2章あたりまではその期待に沿った展開であったが、第3章あたりから様相が一変していく。
520名の命を奪った事故などそっちのけで己の利権、保身、出世に汲々としている輩に激しい嫌悪感を抱く。

新会長に就任した国見、主人公恩地元の清廉潔白に肩入れしながら読んでみるものの、この小説は「勧善懲悪」が成立するような雰囲気を感じ取れない。
小説にせよ、史実にせよ結末がどうなったのか知らないのだが、恩地らに女神が微笑んでくれるとは思えない。

社会の裏側を暴き出している。
国民航空が半官半民とはいえ、「官」がことあるごとに優遇されるシチュエーション。
その「官」も紐どけば多岐にわたる「官」が存在し、反目したり、利権を貪ったりしている。
「JFK」、1990年代に観たオリバー・ストーンの映画と重なる。
どちらも、国民が豊かで実りある生活を遅れるように労苦を取らねばならない輩がその使命を置き去りにして我が身を最優先にしている姿だ。
そして使命を真剣に考え、国民のことを憂慮している人々が異端児として扱われるところも同じ。

性善説と性悪説では性悪説を採る私としては「金」「利権」らとは無縁なままで構わない。
「STAR WARS」の「アナキン・スカイウォーカー」になってしまう。
アナキンにはなりたくないと思っていても、いざ目の前に巨大な利権がぶら下がり、見たこともないような札束が積まれれば、私はダークサイドに堕ちる。

だから、この下書きを認(したた)めながら佐野元春の「希望」を聴く。
「ありふれた男」で「ありふれた日々」を過ごして「何も変わらないものをそっと抱きしめたい」と願っている。

第1章 新生
第2章 朝雲
第3章 黒い潮
第4章 曙光
第5章 波紋
第6章 狼煙
第7章 弔鐘

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