2013年5月3日金曜日

軍師二人


戦国時代、名を為すまでには至らなかった武将たちの物語、8編。
司馬センセにしては珍しく、男女の営みを下敷きにして、男の生きざまが綴られているものが多い。
若しくは、女によって人生を狂わせられてしまう武将たちの運命が綴られている。
短い言葉に男の悲哀や矜持などが籠められている。

どれもこれも抜群の面白さを感じることはできない。
男を活かすも殺すも女次第であるし、その反対もまた然り。

「雨おんな」、「一夜官女」、「侍大将の胸毛」の3編に登場してくる女性が愛しく感じる。
侍大将の胸毛での、由紀と渡辺勘兵衛との恋が成就しない結末にやり切れなさを感じると同時に、これが男であり、これが女なんだよな。などといった清々しさを感じた。
なかなかできることではないけれど、想いを寄せた女性との際どさを味わってみたい願望は、願望のままで終えたほうがよさそうだ。

【収録作品】
雑賀の舟鉄砲
女は遊べ物語
嬖女守り
雨おんな
一夜官女
侍大将の胸毛
割って、城を
軍師二人

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