2013年5月19日日曜日

殺し文句の研究


阿刀田高が多年に亘って書き綴られきたエッセイ集
軽妙でポンポンと読めるので、気が塞いでいるときなんかの気分転換に手に取るにはうってつけな一冊だ。

「人は死ぬ」
これを忠実に受け取り、物語を紡いでいく人が池波正太郎が筆頭株
これを眉に唾して、物語を紡いでいく人が阿刀田高
お二人の作風を対比してみると、うんうんと頷ける。
文中に青年期の頃から本当かどうか疑い続けているという。
「人は死なない」こともあるのかもしれない、と。
そういう思考をお持ちだということは、様々な短編集でも紡がれている。
この人が私に提示してくれる教えは「常識を疑え!!」
身の回りで勃発する様々な(仕事上での)事件・事故に相対するとき、当事者と同調しないように、「それって本当?」「それは誰からの発信?」
と確認するように努めている(なかなか思うようにならないけれど)
この思考法はプラスに作用することがあるし、マイナスに作用することは珍か。
経験が少ない担当者からすれば、こういう思考法を持ち合わせている私はそれなりに頼り甲斐があるとのことで、そういう発言を耳にすると、こそばゆい気もあるけど、悪い気はしない。

「人は消化器と生殖器で成り立っている」
消化器の話は人前で話せるけど、生殖器に話は人前で話せない。
これに続く文章があるのだけれど、それはお読みください。
ニヤリと笑ってしまいました

「置き換えの発想」
これが阿刀田高の真骨頂。
置き換えすればいいんだという思考法は理解できるのだけれど、実践は難しい。
これも目に見えるものを当たり前と思わずに頭の片隅で常識を疑うことが大切なんだろう。

私が手に取る作家の大半は、よく映画をご覧になっておられる
この本でも、映画作品はさほど登場してこないけれど、俳優、女優さんの名前はよく登場してしてきている。
イマジネーションを拡げるには、スクリーンに向かうことが大きな力になりえるんだろうなぁ、なんてことを感じ入った。








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