「連れ」が会社の若人の結婚式に出席している間に暇つぶしで観賞した作品
登場人物を「善人」「悪人」に区分けするわけではなく、誰もが悪人の一面があるということを言いたいんだろうな、と感じたのは穿った観賞だったのだろうか?
人物の描写よりも、以下の3つの生ものを調理するシーンが眼に焼き付いている。
① 被害者母がエビの腸を串で取り出している
② 加害者祖母が魚のワタを包丁でサバいている
③ 主人公二人が逃走途中で寄った割烹でイカの活き作りが給される
自分の生命を維持するためには他の生命を奪って以下ざるを得ない残酷な現実
そんな虚無感を感じた。
演技は皆良かった。
主演二人(妻夫木聡・深津絵里)
きっかけの二人(満島ひかり・岡田将生)
ベテラン二人(柄本明・樹木希林)
作品が求めている役どころを十分に果たしている
......だけど、「貫かれる」という感覚を得ることができなかった。
それは主人公二人のストーリー以外の2つのクライマックスに原因がある。
① 被害者の父が娘が死ぬきっかけになった大学生に向けて言う「あんた、大切な人はおるね」
② 加害者祖母が悪徳商法の拠点に乗り込み騙された金を取り戻す
その2つのクライマックスへ向けた伏線が薄かった。
父はどうしてモンキースパナを降り下ろさなかったのか?
祖母はどうして金を取り戻そうと決意したのか?
クライマックスのシーンが良かっただけに、惜しい。
主演二人のキャスティングについて
妻夫木聡、深津絵里共に美男・美女なのが私が感情移入しにくかった原因だろう。
興行成績を気にかければどうしたって売れっ子を登用せざるをえないのだが、主演二人はもっと不細工な人をキャスティングすればいい。
あんな可愛いお嬢さんが紳士服量販店で勤め、彼氏がいない、退屈な日々を過ごし、その日常から抜け出したくて出会い系サイトへ登録することは想像できない。
生まれてこの方彼氏なし、駅前のオフィス街に勤めることが夢だった、私の人生何なんだろう?と迷っているような雰囲気を出せる女優さんであれば彼女が必死になって主人公へ愛を貫こうとすることが腑に落ちるのだろうに。
博多弁、長崎弁、佐賀弁、久留米弁といった方言が深味を作品の雰囲気に深味を与えることに寄与している。
九州出身の人間としては彼らが近しいところで生活をしているような錯覚を覚えることができる。
方言は偉大なり。
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