2012年12月28日金曜日

新・平家物語 吉野雛の巻

最終巻「吉野雛」
勧進帳のくだり、何度読んでも味わい深く。
義経が討たれて、完となるのかと思いきや。
那須大八郎のエピソードがいい。
表紙になっている麻鳥と蓬夫婦の睦まじい風景で大円団となるのもいい。
ははは、何を書いても「いい」としか感想が出てこない。

「本文よりのコーナー」

文覚上人の言葉より
権力は時に必要だと分かっているけれど、その施行する側になるときに戒めておかなければならない。

世に権力をなくすことは難しいが、権勢にまかせた権力悪をわしは憎む
(16巻190頁)

元雑兵の駄五六が鷲尾三郎に向かって言う言葉より
私自身、故郷を離れて四半世紀を経過したところで、昨年来Facebookにてコミュニケーションを取る相手は故郷の同級生ばかり。
そして私が食いついてしまうトピックスは故郷の懐かしいものが大半だ。
そういう私にとってこの言葉はグっと来る

いまにみろ、生まれ故郷の山河がどこよりなつかしいところになるから
(16巻348頁)


【収録】
雀仲間
馬糞大路
此君亭
逢状
飯室問答
湖岸の病家
船蔵春秋
母の弓矢
いまひとたびの
高雄の細道
金泥鬼
大つごもり
御室左右記
偽勧進
千鐘全土
二十九の春
談義しびれ
おかしげな男
二獣
あけはな石
冬眠の国
安宅ノ関
安宅ノ関・その二
野々市殿
勧進帳
皮剥ぎ追尾
能登の平家
桃源の日は短くて
仇し弓
義経最期
南海夜泊
範頼陥し
椎葉の山波
亡びなき人びと
傘の要らぬ日
勝者の府にも
頼朝の死
吉野雛


おおよそ半年を掛けて読み進めた。
前回よりも長く時間が掛かってしまったのは、一つには前回よりも労働している時間が長く、頭脳が本に向かなかったため。
二つ目には、途中寄り道をしながら読んだこと、平家物語に関する本を二冊ほど手に取り、「この話をこういう風に結びつけているんだ」ということを理解しながら、ということ。

お陰様で前回よりも平家物語を味わうことができた。
作家吉川英治の偉大さが改めてよく分かる。
原典で描かれていることでも、それが必ずしも事実であったとは限らない、ということを根拠を見せながら、反対の解釈を出し、新たな清盛像をあぶりだしたし、事象と事象を結びつけて新たな展開を描いている。

そして今から原典の平家物語へ。
吉川版から古典へ。
前回には考えが及ばなった知識欲。


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