戦争
いつの時代であれ、人と人が殺し合うことには変わりない。
この時代は、自分自身が獣に墜ちないように、趣向を凝らした武具を身に纏う
それにしてもこの戦はあまりに凄惨、酸鼻を窮める。
(84頁)
中でも源氏、父親為義と息子義朝が敵味方に別れ、勝者・敗者として再会するくだりに胸が痛くなる
(172頁)
勝利側の首謀者信西の独裁ともいうべき専横に対する批判として、かつて袈裟御前を斬り殺した文覚が登場、無常を説く。
何もかも象あるものは盛衰をまぬがれない。
輪廻の外に生きる工夫が必要だと思う。
(197頁)
文覚、崇徳上皇のお側で水守をしていた麻鳥に説く。
人間とは一日中に何百篇も菩薩となり、悪魔となりたえまなく変化している善心悪心両面の危なっかしいものだとある。
敗者の崇徳上皇の配流後の過ごされ方は同情では気持ちが追いつかない。
およそ、人間の子の不幸は、地上、無数といえるが讃岐で果てられた新院の君ほど悲惨な御生涯はまれである
(235頁)
保元の乱は貴族の権力争いに端を発し、武士は貴族が保有している武器としての存在でしかない。
そう理解している。
【収録】
宇治の関
呉将と越将
鎧騒ぎの事
為朝
加茂川濁水記
瀬々の水たま
兄・弟
陛下と麻鳥
鵜の眼玉
般若の一露
窮鳥
黒業白心
いかずち雲
志賀寺ざんげ
夜の親
文覚往来
木の葉皿
火炎行列
流人舟
松かぜ便り
白峰紀行
江口の君たち
色ぜん尼
深草謀議
朱鼻どの
熊野立ち
罰
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