2013年3月24日日曜日

フライト

原題「Flight」

機長の体内からアルコールが検出されたが、その理由は何か?
誰かの陰謀なのか?だとすれば誰が?
予告編は、そんな思わせ振りなものだった。
従って
「あ~~~、誰がデンゼル・ワシントンの無実を晴らしてくれるんだろう?あるいはデンゼルの自助努力で解決に導かれていくのだろうか?」
などといった期待を胸にスクリーンに赴いた次第。

ところが、である
序盤から既にウイトカー機長は二日酔い状態から始まる。しかも始末の悪いことに、別居しているとはいえ妻帯者でありながら若いキャビンアテンダント(←この人の裸体がまことにエロティック)とよろしからぬ仲でもあるという。
およそ善良たる市民ではないのである。
機上でもアルコールを体内に注入するウイトカー機長。

それでも私はデンゼル=善良な人を演じる俳優。という構図から抜け出せずにいた。

序盤の二日酔いは、搭乗前ならアルコール入れててもいいんじゃない。
と。
機長が搭乗中に口にしたものは、炭酸水だったんだ。
と。

そんな彼が亡き父の実家でありとあらゆるアルコールを叩き潰して依存症から脱却しようとして失敗(したらしい)シーン
極めつけは裁判前日のホテルの冷蔵庫に収納されているアルコールを見つけて立ち去ったと見せた刹那、ウイトカー機長の手がアルコール瓶をサッと手に取る。
ようやく、ここで「嗚呼、嗚呼、彼はアル中機長さんなんだね…。」と認識した。

アルコールこそ飲まないけれど、私にも依存症な面は過去も現在も(そして未来も)あった。
パチンコ、競馬、ファミコン、ゲーム、マンガetc
だから、ウイトカー機長が裁判前日にアルコールを手に取るシーンは他人事には思えなかったし、「ああああ」って目を覆いたくなった。
スクリーンの向こうにいるのはデンゼルではなく、私(鑑賞者)なんだ。
ロバート・ゼメキスはきっとこのシーンで感じてくれれば満足なんじゃないだろうか、と考えている。

ゼメキス監督って、人間の弱さ・脆さをよく知っている人だな、と思う。
そのうえで、勇気(Courage)を表現してくれるなぁ、と。
フォレストガンプの主人公だって(あれは純真無垢の側面が印象が強烈だけど)、バックトゥザフューチャーのマーティ&ドクだって、究極の場面では「為すべきことを把握して為す」
このウイトカー機長だって究極の場面で、「為すべきことを把握して為す」である。
(かなり躊躇していたけれど、そこが天使の心と悪魔の心がせめぎ合っている心理描写がリアリティがあってドキドキした)

アルコールが飲めない人種は黄色人種の数%程度らしく、白色も黒色も皆誰でも飲めるクチなんだそうで、白色人種と黒色人種の構成が高い国家ならではの戒めの作品?
そういった側面もあるのかもしれない。
(日本人観客がこの作品に辛口なのはそういう事情ではない国に生きているからかもしれないなぁ)



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