10年近く前に読んだ「インシテミル」の作者。
あのとき読んだ感触とこの満願も似ていて、この米澤穂信という作家の伏線の張り方は上手いなあと唸る。
インシテミルは、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」へのオマージュ作品、どうしても作者が自縄自縛な印象を抱いた。
まぁ、好きな作品へのチャレンジって何かの制約や自分で決めたルールのもとに書きたくなるんだろうし。
久しぶりに米澤穂信の名前を見かけたのは2017年の夏、NHKでこの「満願」がドラマになったとの報。
しかもこの本、山本周五郎賞を受賞しているとのこと。
それじゃあ!という勢いで手に取る。
冒頭に結末を出して、そこから起承転と展開していく。
特に「万灯」はその典型的な一編。
主人公が殺人を2件も犯している、承が巧みに綴られて。
結のことを忘れてしまった。
そして「あ!」と転で閉じる。
「夜警」と「満願」の2編が読み応えが高かった。
特に「夜警」、読みながら「イヤーな風」が耳元に吹いてきているような感覚がつきまとってきていた。
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