2014年1月25日土曜日

大脱出

原題「Escape Plan」
14年鑑賞1作目

新年早々から、仕事をすることになっていて(しかも自宅で)、それなりに頑張って資料を作り上げていく過程で、脳みそが考えることを拒否した。
私の脳みそは基本的に怠けものだし、易きに流れたがる。
頭を空っぽ(まぁ、元々空っぽに近いんだけれど)にすべく映画館へ赴く。

80年代に青春真っただ中だった身としてはスタローンとシュワルツェネッガーの二人の顔が観れるだけで幸せだ。
銃の握り方、それぞれ個性があります

この映画で驚いたことは2つ
①スタローン演じるセキュリティコンサルタントの前身が元検事だという履歴
...。いや、それはちょっとスタローンさんよ、自分の夢なり妄想なり空想にとどめておいてよ。

②イスラム圏の人が準ヒーロー
これにはヤラれました。
登場と同時に「ん?この人はスタローン達への二重スパイなのかも?」と、疑問視しながら観賞したクチなんですが(そういう人多かったんじゃ?)。
これまで、また911以降はイスラムの人=アンチ主役 の図式が概ねの作品で当てはまるようになtっていたのに、この作品では素晴らしく見栄えのするポジションを用意されている。
実はスタローンでもなく、シュワルツェネッガーでもなく、このイスラムの人が一番かっこよかった。
若いという要素もあるのだろうけどね。

話の筋はまだ覚えているけど、きっと年末になる頃には「あれ?どんな映画だったっけ?」となること必至の作品。

それでいいのだ。


2014年1月18日土曜日

ゼロ・グラビティ

原題「Gravity」

阿刀田高のエッセイによく登場してくる17世紀のフランスの戯曲家ラシーヌ
彼が提唱した作劇のルールが三・一致の法則
芝居は「時の一致」「場所の一致」「筋の一致」
「時の一致」=24時間以内
「時の一致」=場所は一つであること
「筋の一致」=一つの筋を中心として他のエピソードが交わらない
この原則に当てはまる、とてもシンプルで分かりやすい筋立てに仕上がっている。
振り返ってみれば、僅かに90分のfilmである。
うわー、と、目を覆ってしまいたくなった

音がない世界のリアルな体感とその恐怖
後方で衛生が大破して、破片が粉々に砕け散り自身に危機が迫ってくるのにそれを知らないままでいる。
無知なるがままでいる方が幸福なのか?
死が迫り来る状況を知りえる方が幸福なのか?

たった今まで主人公の目の下にあった地球が次の瞬間では目の上に来ている。
つまり主人公は宇宙の中でクルクルと回転していることが分かるのだ。
これを3D、で、尚且つIMAXで観賞したので「目が廻る廻る」
鑑賞して暫く酔っ払ったような感覚に襲われたまま、不可思議な余韻に否応なく浸らされてしまった。

ジョージ・クルーニーが演じたコワルスキーの決断が、同性である男として頷ける。
男という性には、確かにああいう心理が働く。
コワルスキーはライアン博士に恋情を抱いているわけではなく、同僚、または戦友として関わってきたのだろう。
愛する女との別離には私の目には映って来ず、戦場で敵陣の真っただ中に突撃していく戦士の目に映った。

本来安全なはずの宇宙船の中でも
次々とライアンを襲う不測事態
翻ってライアン博士の束の間の夢にコワルスキーが登場してきたのはどう解釈すればいいのだろう?
女ならぬ身としては想像しかできないのだけれど、頼れる存在、信頼しつくしていた存在だったからなんだろう

このところ3D映画にさほどの魅力を感じていなかったのだけれど、久々に3Dの素晴らしさを余すことなく心ゆくまで堪能できる作品の登場だ。
3D映画の金字塔といえば、「アバター」だけと言っても過言ではなかったけれど、ようやく今作の登場によって
ファンタジーの金字塔=アバター
仮想体験の金字塔=ゼロ・グラビティ
と、二大金字塔にカテゴライズしても問題なかろう。

サンドラ・ブロックが宇宙服を脱ぎ捨てて下着姿になるのだが(これが筋肉質な体でセクシーさを抑えていた)これは「エイリアン」のエレン・リプリー(シガニー・ウイーバー)へのオマージュであり、リスペクトであるのだろう。
そのほかにも幾つものSF映画へのオマージュの類が散りばめられているのだろうけど、精通していない我が身では具体的には分からない。
そんなことは二の次、クルクル感を堪能せよ!


2014年1月13日月曜日

与之助の花

この短篇集では後半に収められている「理系男子もの」とでも呼べばいいのか「与之助の花」「万太郎船」「噴き上げる花」の3篇が特徴的だ。

何かの目標を掲げた男が、目標の実現のために自己を犠牲とし、それを健気に支えるヒロインの図式
ストイックな主人公とどこまでも尽くすヒロイン

あまりに綺麗すぎてそのまま100%を受け止めることはできなかった。
財を切り崩してまでビジョンの達成のために打ち込む姿は、とても美しいものだとは思うのだけれど。
それだけ私の心は曇っているんだろうな、と感じずにはいられなかった。

以下目次
・恋芙蓉
・孤島
・非常の剣
・磔又七
・武道宵節句
・一代恋娘
・奇縁無双
・春いくたび
・与之助の花
・万太郎船
・噴き上げる花
・友のためではない
・世間


2014年1月11日土曜日

REDリターンズ

原題「RED2」

主役のブルース・ウイリスより、見どころはヘレン・ミレンのハジケっぷり
それからレクター博士を彷彿とさせるアンソニー・ホプキンス
ウイリスが前面に出過ぎなかった。こういう作りのほうがREDはいいのかもしれないなぁ
(主人公が少し後ろに立つ感じで、ゲスト役が前面に出てくる感じ)
なんと、我が母と同い年

説明不足のところが多くて(説明をして欲しいと願っている人は少数派なんだろうけど)消化不良である。
マーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)はどうして死んでいなかったのか?の種明かし、とか、フランク(B・ウイリス)がマーヴィンの死体にニードルを刺しても反応が返ってこなかった理由、とか、フランクはどうやってあの仕掛けを飛行機に仕込んだのか?などなど。
そのあたり、ミッション・インポッシブルはきちんと説明してくれるんだけど。
シャーロック・ホームズでも、逆時計廻しで一気に説明してくれるんだけど。
REDでは、クエスチョンに対するアンサーがないのが困りものだ。

前作では狂言回しだったマーヴィンの影が薄くなってしまい(彼の髪同様いつかなくならないように祈る)、勿体ないような残念なような気がしている。

それを補って余りあるのがヘレン・ミレン
ホテルの一室で死体を溶かしながら元カレに電話している姿や、イ・ビョンホンとスポーツ・カーに乗り込み両手を使ってガンをぶっぱなす(この表現が的確だ)ド派手な立ち回りには心から喝采を捧げる。
脚フェチにはヨダレが出てしまうようなシーンがある
銃を撃つ度につま先がクゥーン、クゥーンと曲がるのである。
それを観る元カレが「たまんねえな」といったニュアンスの台詞を吐くのだが、全くもって同意するのである。
何とまぁ、我が母と同い年であることを知って、「ドッヒャー」な気分。

今作はスケールを大きく広げすぎてしまったと感じているので、世界各地を飛び回っているばかり(それはそれで世界旅行をしている気分に浸れるのだが)イマヒトツ主人公たちが何を求めているのか、何に追われているのかわからなくなってしまった。
「ナイトシェパード」って何のことなん?
…。まぁ、とはいえ、前作のストーリーも全く記憶に残っていないから、それで「OK!」なんだけどね。

イ・ビョンホンとキャサリン・ゼタ・ジョーンズ
若造と呼ぶにはあまりに失礼、だけど、超ベテラン(リタイア組)と呼ぶには早すぎる世代。
つまりは何ちゃないバリバリの現役世代の代表格なんだけど、この作品でも扱いは雑だ。
でも多分きっと製作者側の意図しているところだろうし。本人たちもその事情を理解したうえでの出演なんだろうなあ。
ビョンホンの脱ぎっぷりは見事だったし、肉体美を見せつけられるうちは「見せておけ!」ってことなんだろう。

2014年1月8日水曜日

大瀧詠一が北極星になってしまった

私が中学生の頃は薬師丸ひろ子ファンだった。
薬師丸ひろ子は大瀧詠一のファンだった。
彼女がDJを務めていたラジオ番組で大瀧さんのコンサートに行ったことを言わなければ、僕は大瀧詠一の音楽を聴く機会はもっとずっと後ろに伸びたことだろう、あるいは聴かないままで終わった可能性だってある。
大瀧詠一の音楽を聴いて、ナイアガラトライアングルで佐野元春と出会った。

大瀧さんとの邂逅が無くても、佐野元春には別経路(こちらがメインの邂逅だけれども)で、出会っていた。
それでも大瀧さんの音楽との触れ合いがなければ、私の佐野元春へのパッションはここまでの熱を保ち続けることはなかっただろう。
大瀧さんがいなければ、佐野元春が今の地位を築くことだってなかった可能性だってある。


「A LONG VACATION」中学三年の頃に聴きまくった。
ませていた私は「雨のウエンズデイ」から始まるB面が大好きだった。

「EACH TIME」高校一年の頃に聴きまくった。
高価で珍しいTEACのメタルテープでダビングした

ティーンネイジの少年は大人の恋に憧れ、片思いの辛さを大瀧さんのメロディと歌声で随分と癒してもらった。
16歳から45歳になるまで、ずっと新しいアルバム発表のニュースを心待ちにしていた。
生きている大瀧詠一がニューアルバムをリリースして、佐野さんや山下達郎や伊藤銀次へあれこれ講釈してくれることを期待していた。
だから、追悼アルバムの類にはあんまり興味が湧かない
(それでもきっと入手したくなるだろうけど)

大滝さんの不在を嘆くことしか今はできない。
それでも、これだけは伝えておきたい。
大瀧さん、ありがとう。


2014年1月1日水曜日

2013年の映画ベストテンと一言コメント

明けましておめでとうございます

何はともあれ、鑑賞し続けることに意義があった時代を過ぎたと思っている。

今は、それなりに鑑賞したら楽しむべきポイントを見つけるように教えてもらっている
いつかは映画評論家になろうなんて邪な考えは持たないけど、他者から「おおっ」とか「なるほど」といった感想を持って頂けるような切り口を掴んでいきたいなぁ、と。

映画鑑賞は趣味に当てはまるのかよく分からない。

それは他者と関わることが少ないからだと、母は言う。(母は卓球のコミュニティに属して友人を増やした)
時代はとっくの昔に映画はテレビで容易に鑑賞できるように変革した。
一人の部屋で、いつでも鑑賞できるため個人で完結できるし、ネットでその作品について談義できる。
それで満足できるのかもしれない。
それでもなお、せっせと館に向かい、スクリーンを見つける人は存在する。
そういう人びととWEB上だけでなく、実世界でも交流できるようなコミュニティに属するようになれば、それが趣味として他者にも言えるのかもしれない。

前置きはここまでで、ベストテンと一言コメント

1位「レ・ミゼラブル」
希望も絶望もひっくるめた、人間賛歌
2位「ゼロ・グラビティ」
宇宙遊泳している気分に浸れます
3位「テッド」
テッドの毒は、言いづらいことをズバッと言えない今の時代に対する警鐘かも
4位「ワールド・ウォー・Z」
あれよあれよと感染していく、そのスピード感にヤラれました
5位「ラストスタンド」
80年代チックなアクションもの、落ち着いて観れるキャスティング
6位「オブリビオン」
映像美!そして50台を目前にして尚アップを撮りたがるT・クルーズの美!
7位「そして父になる」
淡々と進み、それが事実のように進んでいく。驚くほど静かで深い
8位「ジャンゴ 繋がれざる者」
弱き者が強き者へ復讐、そんなの撮らせたらタランティーノの右に出る監督はいない
9位「パシフィック・リム」
童心に帰れる。マジンガーZにライディーン。半ズボンで駆け回っていた頃の記憶に乾杯!
10位「凶悪」
本当に後味が悪かった。犯人だけでなく登場人物が全員何かしらの凶悪を抱えてます

今年は全部で42作鑑賞。
上位3作が抜けた印象で、残りは横並びに近い。
14年もせっせとスクリーンに向かうことにしようっと!