5~6年ほど前に労働組合にほぼ専従となっていたMさんが、飛行機の中で読んでいたという。
しょっちゅう出張で福岡~東京間を移動している間に時間を潰すのは「本」だといい、メジャーな宮部みゆきなども読み尽くし、長篇を求めていたMさんにしてみれば、『沈まぬ太陽』はうってつけの素材とページ数。
そんなことを話していたことを未だに覚えていて、この本を手に取った。
2009年に映画化され、読者も多い(私もその一人だし)
序章で主人公恩地元はアフリカにいる。
何故そんなところに転勤させられているのかその経緯はぼんやりと書かれている。
第2章以降にその経緯が克明に明かされていく、労働組合と会社との攻防のくだりには目の前で団体交渉が繰り広げられているような臨場感に溢れる描写。
社長はじめ、会社経営陣の風貌、癖、生い立ちなどの要素を場面場面で盛り込んでいくことで彼らの顔が読み手の中で構成されていく。
幸いなことに映画の配役を知らずにいる。これにより彼らの顔が具体的な俳優に置き換わらずに自分の頭の中で偶像化されている。
「幸いなこと」と感じるその理由、想像する楽しみを得られるから。
アフリカ篇
第1章 アフリカ
第2章 友情
第3章 撃つ
第4章 クレーター
第5章 影
第6章 カラチ
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